学校の音楽の授業やピアノを弾いている人、何かしら音楽に携わっている人ならお馴染みのト音記号・へ音記号。これはどちらも楽譜に使われる記号で音部記号と呼ばれます。ピアノ譜を思い浮かべて頂ければわかりやすいと思いますが、高音部はト音記号、低音部はへ音記号が使われています。
今まで何の疑問もなくト音記号・ヘ音記号と呼んでいましたが、何故ト音・ヘ音と言うのか気になりました。音楽家や作曲家の方からしたら常識なのかもしれませんが、由来は何なのでしょうか。
ト音記号の由来
まず大前提としてト音は「ソ」です。コードで言うと G です。アルファベットの最初の文字である A は「ラ」であり、オーケストラでもチューニングに使われる基準音となっています。「ラ」は日本式で言うと「イ」です。イロハニホヘトの順番で数えていくとト音は「ソ」になりますよね。
ト音記号とは「ソ」の音を表す記号です。ト音記号をよく見ると中心部(渦の部分)が「ソ」である事がわかります。ト音記号って好きに書いて良いわけではなくてちゃんと位置にも決まりがあったんですね。
ト音記号とヘ音記号では、五線譜の音符が同じ位置でも音が違う事は音楽を嗜んでいる方ならよくわかると思います。五線譜に音部記号がなければ、その音符が何の音なのか判別ができません。音部記号が付く事で初めて基準音が設定されるのでその音符が何の音かわかります。例えばト音記号なら、これによって五線譜の「ソ」の音の位置がわかるという仕組みです。
ちなみにト音記号は「G」の形が変形して出来たものみたいです。
ヘ音記号の由来
ト音記号と同じ要領でヘ音とは「ファ」です。コードで言うと F です。「ラ」を日本式で言うと「イ」ですので、イロハニホヘトの順番で数えるとヘ音は「ファ」になります。
ヘ音記号をよく見ると、2つの黒い点々の間が「ファ」である事がわかります。ヘ音記号とは「ファ」の音を表す記号です。ト音記号と同様にヘ音記号も書く位置が決まっています。ファの位置を表さないと意味がありません。
ちなみにヘ音記号も「F」の形が変形して出来たものみたいです。
ハ音記号もある
音楽の世界にはト音記号とヘ音記号だけかと思いきや、ハ音記号も存在していました。現在ではハ音記号を使う習慣も廃れてしまっていて見る機会は少ないようです。
ハ音記号は中央の←みたいな形になっている部分がハ音「ド」となる音部記号です。私も馴染みがないものです。かつては声楽で使われていたのがハ音記号だったようです。
何故ト音とヘ音が基準なのか
何故ト音とヘ音が基準なのか、イ音記号やホ音記号はないのか?なんて疑問を持っていました。ト音記号やヘ音記号が五線譜で音の基準を示す事はわかりましたが、これについては調べてみてもいまいちよくわかりませんでした。
推測となりますが、ト音記号もヘ音記号も一本線を書き足した部分の音は同じ音で「ド」です。これが違っていたら楽譜も読みにくいです。例えばト音記号なのに「ラ」が基準になってしまってはその関係性も崩れてしまいます。
それともピアノ譜で低音部もト音記号だと、五線譜の外にほとんどの音符がはみ出してしまって読みにくいので五線譜の音の基準を変えるヘ音記号ができたのかもしれません。